採用サイトでコンテンツマーケティングをおこなうメリットとは？活用方法と効果を出すためのポイント

人材不足が続く現在では、採用サイトでコンテンツマーケティングをおこなう企業も増えています。コンテンツマーケティングは、採用サイトで集客を図るときにも有効な手段の一つです。採用サイトのコンテンツマーケティングをおこなう際には、この記事で説明するポイントをおさえておきましょう。

採用活動がうまくいっていないと感じている担当者様などは、ぜひ参考にしてください。

コンテンツマーケティングとはユーザーのニーズを育て、最終的に顧客へと誘導するマーケティング手法です。自分のニーズに気付いていない潜在層の顧客に対して、関連するコンテンツを通してアプローチをおこないます。コンテンツマーケティングをおこなうときは、はじめに以下の項目を理解しておくことが必要です。

コンテンツマーケティングとは、コンテンツの制作・発信を通じて、顧客の獲得を目指すマーケティング手法です。おもに潜在層とよばれるユーザーへのアプローチをおこない、購入意欲を育成することで、最終的に自社サービスの利用へと導いていきます。潜在層とは、自分のニーズにすら気付いていないユーザーです。潜在層のユーザーは、不便さを感じているものの、改善意欲やサービスの必要性を認識していません。

このようなユーザーに対して有益な情報を発信することで、自分のニーズに気付いてもらい、サービスの必要性を認識してもらいます。ユーザーが必要性を感じてくれると、ニーズが生まれるため、商品の購入につながります。なお、潜在層のユーザーは自社サービスを知らない状態であるため、自社サービスの情報についても併せて発信することが必要です。

近年、SNSなどの普及により、インターネットを活用して情報収集をおこなう方も多くいます。インターネットは、自分が知っているキーワードを用いて検索をおこなうのが特徴です。ただし自分が知らないキーワードに関連するものは検索にヒットせず、探すことができません。そのためネット検索では、自分が知っているキーワードに関連するものしか、調べられなくなっています。

このような状況では、新しい自社商品を開発したとしても、存在を認知してもらうのは難しいでしょう。コンテンツマーケティングでは、商品への興味関心が高い顧客に限らず、必要性を感じていないユーザーへもアプローチが可能です。なお、大衆へ周知をおこなう方法には広告なども挙げられますが、効果が出るまでには時間と費用がかかります。コンテンツマーケティングは効率よく周知活動がおこなえ、コストもおさえられるため、近年注目されつつあります。

採用にコンテンツマーケティングを活用することには、さまざまなメリットがあります。メリットを知っておくことで、より効果的なマーケティングをおこなえるでしょう。主なメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

採用サイトは、Webサイト全体に自社のみの求人情報を詳細に載せられることが特徴です。求人媒体の場合、多数の企業が求人情報を掲載するため、自社のスペースは限られています。掲載できるスペースはプランによって異なりますが、詳細な情報を掲載することまではできません。求職者は事業や仕事内容、勤務時間など会社の詳細についての情報がないと職に就いたときの想像ができないため、応募すべきかどうか判断するのに時間がかかるでしょう。

一方で、採用サイトを活用すれば、文字数などの固定や掲載する内容に制限がないため、自由に情報を載せることができます。たとえば「工場作業で働きたいけど、暑いのは嫌だ」と思っている方がいるとします。このような方に工場内の空調設備が充実していることをアピールすれば、自社に興味をもってくれる可能性があるでしょう。

採用サイトには、画像だけでなく動画を掲載することが可能です。求人媒体やコーポ－レートサイトなどは、採用分野のスペースを十分に確保できないため、ボリュームの大きい動画などは掲載できません。採用サイトでは十分なスペースを確保できるため、動画などのコンテンツも掲載できます。動画コンテンツを載せることによって、文字だけでは伝わりにくい表現やニュアンスを適切に伝えることができるでしょう。

なお、一般的な動画告知とは、載せる意味が若干異なります。一般的な動画の告知では、おもに企業を良く見せることが目的です。採用サイトに載せる動画も企業のイメージアップを図れますが、求職者が職場をイメージしやすいものが必要となります。具体的に職場のイメージができれば、不安の解消につながり、応募がしやすくなるでしょう。

採用サイトは、採用時と入社後のミスマッチを減らすことにも効果的です。求人媒体やコーポレートサイトでは、採用情報の掲載スペースが限られるため、募集要項など必要最低限の情報しか載せられません。自社が求める人材の情報も詳細まで掲載できないため、採用時に応募者と企業側でミスマッチが生じてしまいがちです。ミスマッチが起きてしまうと、人材を探し直さなければならなくなり、採用コストも膨らんでしまうでしょう。

一方の採用サイトでは充実した情報を発信できるため、求職者もイメージがしやすく、採用時のミスマッチも減らせます。また企業理念や職場環境についても詳細情報を提供できるため、求職者は入社後の働く姿を想像しやすくなります。ギャップを抑えられるため、早期退職なども軽減できるでしょう。

求職者は企業に関して、待遇以外にもさまざまな情報を考慮して応募を判断しています。志の高い求職者のなかには、企業の理念や代表者の価値観などが気になる方もいるでしょう。このような人材は帰属意識も高く、熱意をもって業務に取り組んでくれるため、会社にとっては貴重な戦力となり得るでしょう。志の高い求職者の共感を得るには、企業理念や代表者の価値観を明確に示すことが大事です。

採用サイトであれば、企業理念や代表者のメッセージについても、十分なスペースを確保できます。魅力的な情報を発信することで、優秀な人材からの共感も得られるでしょう。優秀な人材を集めることができれば、業績アップにも期待できます。ただし共感を得るには、求職者にとって有益な情報を提供することが必要です。企業の一方的なアピールになっては共感を得られないため、掲載する情報は求職者目線で考えましょう。

求職者にとって、応募する企業のイメージは重要な判断材料の一つです。たとえば社内に充実した研修制度がある場合、研修制度の内容を掲載することで、「キャリアアップが充実している」というイメージを与えられるでしょう。また海外事業部などがある企業であれば、事業や展開などを掲載することにより、「グローバル企業」という印象を与えられます。

イメージを定着させることができれば、海外移住をしたいと思っている方などからは、興味を持ってもらえるでしょう。このように採用サイトをうまく活用することで、採用活動を通した企業のブランディングができます。ペルソナを明確に設定すると、企業ブランドの確立もしやすくなるでしょう。

コンテンツマーケティングは、売上アップを狙うときなどに活用されるケースが多いため、採用活動に有効と聞いてもイメージできない方もいるでしょう。しかし求職者にも、自分のニーズに気付いていない潜在層は存在します。コンテンツマーケティングを活用して、効果的なアプローチをおこなうことで応募へとつながります。おもな活用方法は、以下のようなものです。

採用サイトでは、自社で働く社員の声を求職者に届けることも大切です。求職者のなかには、企業で現在働いている人の印象によって応募を判断する方もいます。なかには在籍する社員の働く姿に憧れて、入社を決める方も珍しいことではありません。このような人材を自社への応募につなげるためには、社員のインタビューコンテンツなどを掲載するのが効果的です。

インタビューコンテンツを載せる際には、動画などを活用するようにしましょう。文字や静止画では、大まかな内容を伝えることはできますが、雰囲気や詳細な様子までは伝えられません。動画であれば社員の声や動きを見られるため、文字や静止画では伝えることのできない雰囲気や様子を伝えられます。リアルな姿を確認できるため、求職者もイメージがしやすくなるでしょう。

具体的なイメージができれば、入社後のギャップを抑えられるため、早期退社も減らせます。ただし、掲載した社員が退社した場合には、迅速にコンテンツを更新することが必要です。在籍する社員に憧れて入社した求職者が、入社後に憧れていた社員の退職を知ってしまうと、モチベーションが下がってしまいます。モチベーション維持が難しくなると、早期退社につながる可能性があるため、誤解が生じないよう常に新しい情報を掲載するようにしましょう。

採用サイトでコンテンツマーケティングをおこなうときは、コンテンツとSNSなどをうまく活用して、採用活動を進めることが大切です。採用サイトは制作するだけで終わってしまうと、求める成果は得られません。制作しただけではサイトの存在をだれも知らないため、まずは存在を知ってもらう必要があります。より多くの人にサイトの存在を認知してもらうには、SNSなどを活用した集客施策などが効果的です。

現在では、TwitterやLINEをはじめとするSNSを活用する方は多くいます。人によっては、毎日使用しているという方もいるでしょう。これらのSNSをうまく活用することで、効率よく周知がおこなえます。SNSには、「シェア」という機能が備わっており、ユーザーが自動的に情報を拡散してくれます。魅力的な情報であれば、拡散するスピードも速いでしょう。このようにユーザーが主体となって情報を拡散する手法を「ユーザー主体のマーケティング」といいます。ユーザー主体のマーケティングは、コストを抑えられるのがポイントです。

一般的な広告の場合、広く宣伝をおこなう際には広告費が膨らんでしまいます。資金を準備できない会社であれば、思うような周知活動ができないでしょう。SNSをうまく利用することで、低コストで周知活用をおこなえます。魅力的な情報を発信できれば、拡散するスピードが速まるため、効率よく採用サイトの集客ができるでしょう。

採用サイトを公開した後は、定期的に新しい情報を更新することが重要です。鮮度の良い有益な情報を定期的に発信することで、新しいユーザーの発掘につながります。おもにコンテンツマーケティングのターゲットとなるのは、潜在層のユーザーです。現在は自分のニーズに気付いていない状態ですが、さまざまな情報を発信することで、気付かせることができるかもしれません。自分のニーズに気付いたユーザーは潜在層から顕在層へ変わり、自社サービスを利用してくれる可能性が高まります。

また公開したあとサイトを放置していると、古い情報が残ったまま掲載されている状態となります。古い情報が残ったままだと求職者がサイトを訪れた際、「まだ応募できるのか」と不安になってしまいます。せっかく応募したとしても求人が締め切られていると、企業に対する不信感をもつでしょう。求職者に誤解を与えないためにも、掲載する情報は常に最新の状態を保つことが大切です。

更新には費用や労力がかかりますが、効率よく採用ができれば、最終的には採用コストの削減につながります。採用サイトに掲載するコンテンツは、定期的に更新を実施し、常に鮮度を保つように心掛けましょう。定期的に更新をおこなうことで、認知の拡大にもつながります。

近年では採用活動に、コンテンツマーケティングを取り入れる企業も多く存在しています。実施に導入したことで、集客と人材確保に成功した企業も少なくありません。当然、集客に成功した企業の採用サイトには、さまざまな工夫がされています。理解を深めるためにも、採用でコンテンツマーケティングを活用した事例をみてみましょう。

株式会社メルカリは、フリマアプリ「メルカリ」を運営している企業です。メルカリは、日本とアメリカを中心にサービスを展開しています。株式会社メルカリは、ミッションを達成するために、働く仲間を重視していることが特徴です。採用向けのコンテンツプラットフォーム「mercan」は、メルカリグループの社員全員が情報を発信できます。

ｍercanは自社が求める優秀な人材を採用することと、入社したあとに起こるミスマッチの削減を目的として運用されています。「メルカリの人を伝える」をコンセプトに運用がおこなわれており、掲載されているコンテンツは働き方やミッションなどさまざまです。採用情報のページでは、職種で選ぶかキーワード検索ができるようになっており、自分の応募したい職種を簡単に探せるようになっています。

また社員紹介のコンテンツでは、社内で起きている出来事や社員インタビューを、テキストや動画および音声などで配信。職場環境や社内情報、プロジェクトに対する作り手の想いなどを具体的に伝えています。なおｍercanは、英語表記と日本語表記を選択できるのもポイントです。外国の方でもコンテンツを利用しやすく、メルカリの価値観や文化を知ってもらうことで、企業ブランディングやカルチャーへの貢献を図っています。

サイボウズ株式会社は、グループウェアをはじめとするソフトウェアの開発をおこなう企業です。社内におけるチームワークの育成、労働環境の向上を目指す企業に向け、さまざまなクラウドサービスを提供しています。採用活動にも注力しており、採用ブランディングを進めていることもポイントです。「制作PRつなげない」という切り口で、採用イベントや新しい働き方に関する情報を発信しています。

サイボウズ株式会社の採用サイトでは、トップページに求人検索機能を配置。ページを訪れた瞬間から、求人を探せるようになっています。またトップページで「基本を知る」「事業を知る」「仕事を知る」「人を知る」など、各コンテンツの紹介がおこなわれており、ボタンをクリックすることで詳細ページへ移動する仕組みです。メニューを開く必要がないため、スムーズに各コンテンツへ移動できます。

また職場環境を紹介するコンテンツでは、オフィスの風景写真を支店ごとに掲載しています。支店ごとの風景写真を掲載することで、求職者は実際に働く職場を確認できるため、自分が働く姿をイメージしやすいでしょう。なお、サイボウズ株式会社は社内のコミュニケーションを大切にしており、採用サイトでは促進するための取り組みや制度が紹介されています。交流会などの画像も掲載されているため、求職者の不安をやわらげる効果に期待できるでしょう。

「株式会社良品計画」は、商品の調達から販売まで幅広い事業展開をおこなっている企業です。「感じ良い暮らしと社会」の実現に向けて、世界貢献や集客に力を入れています。良品計画は、実践的で便利な商品を豊富に取り揃えていることが特徴です。服や雑貨をはじめとする日常用品を7000種以上扱っており、日常生活における人々の暮らしを支えています。

株式会社良品計画の採用サイトは、トップページに社員一覧が掲載されているのがポイントです。トップページを下にスクロールすると、社員ごとに名前と写真が並べられており、写真をクリックすることで詳細ページへ移動します。詳細ページでは社員の入社年や携わったプロジェクトなどの経歴を紹介。先輩社員の経歴を知ることで、求職者も入社後のキャリアをイメージしやすくなるでしょう。

またユニークなコンテンツが取り入れられているのも、良品計画の採用サイトにおける魅力の一つです。採用情報コンテンツ「若手座談会」では、複数の社員が良品計画に入社したわけなどを深く語っています。就職活動時のリアルな情報を知ることができるため、求職者からの共感も得やすいでしょう。なお、採用サイトにはインターンシップに関する情報も発信されています。入社後のキャリアアップに関する情報を得られるため、求職者が自分のキャリア形成をおこなうときも、計画が立てやすくなっています。

コンテンツマーケティングを活用した採用で効果を出すには、おさえておきたいポイントがあります。コンテンツマーケティングを活かした採用では、それぞれの特徴をうまく組み合わせることが大事です。偏った施策になってしまうと、集客は期待できません。効果を出すためにも、以下のポイントをおさえておきましょう。

採用サイトは、採用活動に特化したWebサイトです。応募を増やすには、求職者が求める情報を提供する必要があります。求職者の必要とする情報を掲載することで、応募するかどうかの判断がしやすくなります。加えて企業の魅力を伝えることができれば、他社との差別化も図ることが可能です。

ただし採用活動を円滑に進めるには、求職者にとって価値あるコンテンツでなければなりません。企業の魅力を伝えることも大事ですが、採用サイトのなかには、企業側の意向が一方的に発信されているものもあります。掲載するコンテンツは、求職者の目線に立って考えることが大切です。応募を増やすためにも、求職者にとって価値あるコンテンツを制作しましょう。

効率よく採用活動を進めるには、採用サイトの目的や役割を明確に設定することが重要です。コンテンツマーケティングではさまざまな施策を実施しますが、施策ごとに目的と役割が異なります。しかし、施策を進めていくうちに、施策が被ったり混同したりすることがよく見られます。

たとえば、採用サイトなのにもかかわらず、企業アピールが強過ぎて、コーポレートサイトのようになってしまうケースはよくあることです。それでは求職者に有益な情報が届きません。社風など求職者の本当に知りたいことを伝えることができず、応募は見込めないでしょう。

コンテンツ制作を実施したあとは、プロモーションを考えておきましょう。採用活動におけるプロモーションとは、大衆に採用サイトの存在を認知してもらい、コンテンツを通じて応募を増やすことです。企業の魅力を発信し、求職者の共感が得られれば、優秀な人材の獲得にもつながります。採用サイトのコンテンツを制作したあとは、応募につながるように、積極的にプロモーションをおこなっていきましょう。

なお、採用サイトのコンテンツマーケティングでは、自然検索からの流入が基本です。検索順位を上げる必要があるため、SEO対策などおこなわなければなりません。ただし自然検索は、効果が出るまでに半年ほどかかるとされています。効果を早めるには、「コンテンツプロモーション」などの併用が重要です。コンテンツプロモーションでは影響力のあるインフルエンサー、および企業の関係者や潜在層に関連するコンテンツを届け、シェアによる情報の拡散に取り組みます。適切なプロモーションは企業や目的によって異なるため、自社に合った施策を実施しましょう。

企業の人材不足を改善するには、効果的な採用活動を実施する必要があります。より多くの集客を図るときは、コンテンツマーケティングの活用も有効な手段の一つです。採用活動でコンテンツマーケティングをおこなうときは、以下のポイントをおさえておくことが大切です。

採用サイトとコンテンツマーケティングをうまく組み合わせて、優秀な人材の確保を目指しましょう。